
沼名前神社(ぬなくまじんじゃ)は、広島県福山市鞆町後地にある神社。式内社、旧社格は国幣小社で、現在は神社本庁の別表神社。
「鞆祇園宮(ともぎおんぐう)」の別称、「祇園さん」の通称がある。
主祭神
大綿津見命 (おおわたつみのみこと) – 旧渡守神社祭神。
相殿神
須佐之男命 (すさのおのみこと) – 旧鞆祇園宮祭神。
当社は、明治に渡守神社(わたすじんじゃ)・鞆祇園宮(ともぎおんぐう)を合祀し、『延喜式』神名帳の記載にならって「沼名前神社」と改称したものである。神社側では、渡守神社が『延喜式』神名帳所載の式内社で、同社が現在に至るとしている。現在の祭神2柱(大綿津見命・須佐之男命)は、それまでの各社の祭神である。
社伝では渡守神社(現・沼名前神社)の創建に関して、第14代仲哀天皇2年に神功皇后が西国に向かった際、当地の霊石に綿津見命を祀り海路安全を祈ったことに始まるという。そして帰途に際し、綿津見命の前に「稜威の高鞆(いづのたかとも。鞆は弓具の1つ)」を奉じたことから、「鞆」の地名が起こったともいう。
平安時代中期の『延喜式』神名帳では備後国沼隈郡に「沼名前神社」として式内社の記載がある。同帳では読みは「ヌナサキ」「ヌナクマ」の2説がある。